宮之城線は、かつて鹿児島県薩摩川内市から伊佐市に間にあった、国鉄の鉄道路線です。
JR への継承直前となる 1987年(昭和 62年)に全線廃線となっています。
- 1 概略
- 2 川内駅(せんだいえき)
- 3 薩摩白浜駅(さつましらはまえき)
- 4 楠元駅(くすもとえき)
- 5 吉野山駅(よしのやまえき)
- 6 樋脇駅(ひわきえき)
- 7 上樋脇駅(かみひわきえき)
- 8 入来駅(いりきえき)
- 9 薩摩山崎駅(さつまやまざきえき)
- 10 船木駅(ふなきえき)
- 11 宮之城駅(みやのじょうえき)
- 12 佐志駅(さしえき)
- 13 薩摩湯田駅(さつまゆだえき)
- 14 薩摩鶴田駅(さつまつるだえき)
- 15 薩摩求名駅(さつまぐみょうえき)
- 16 広橋駅(ひろはしえき)
- 17 薩摩永野駅(さつまながのえき)
- 18 針持駅(はりもちえき)
- 19 西平良駅(にしたらえき)
- 20 羽月駅(はつきえき)
- 21 薩摩大口駅(さつまおおくちえき)
- 22 沿革
- 23 関連記事
概略
川内駅と薩摩大口駅を結ぶ、全長66.1 kmのローカル線でした。
始発、終点駅あわせて全20駅の構成です。
全線が鹿児島県内にありますが、大まかに経済圏は2分していたといわれます。
川内駅~薩摩永野駅は、川内市(現在の薩摩川内市)の経済圏です。
針持駅~薩摩大口駅は、大口市(現在の伊佐市)の経済圏だったといわれます。
そのため、全線運行の列車のほか、区間運転の列車が運行されていました。
川内駅(せんだいえき)
いまや九州新幹線の駅となり、立派な駅舎を持つ現役駅です。
もともとは、鹿児島本線の駅であり、宮之城線の起点駅でした。
薩摩白浜駅(さつましらはまえき)
県道ができ、駅の面影はありません。
遺構らしい遺構を見つけることができませんでした。
楠元駅(くすもとえき)
公園化されていて、駅票をはじめ鉄道遺構が残っています。
なんと、移築改造はされていますが、当時の木造駅舎がまだ保存されています。
少し前まで、鉄道遺構が展示してあったのですが、駅舎の中は片付けられています。
最近は改修されておらず、形あるうちに見ておいてよかったと思った駅です。
吉野山駅(よしのやまえき)
駅のあったところは郵便局になっています。
周辺には駅があったと思わせる雰囲気が残っています。
樋脇駅(ひわきえき)
現役当時の駅がそっくり保存されています。
鉄道公園として整備され、ホームや線路も当時の配置のままです。
上樋脇駅(かみひわきえき)
ホーム上に待合所があった駅です。
なんとホームが残っています。
待合所もながらくそのままでしたが、現在は撤去されています。
入来駅(いりきえき)
公園として整備され、周辺は駅の雰囲気が残っています。
記念碑の先には、タクシー会社があってお店やトイレもあり今でも駅らしい駅跡です。
当時の建物はありませんが、後から建てた建物は、駅があったことを後世に伝えようとしています。
往時からあるのは、ポイントを切り替える機械と踏切です。
薩摩山崎駅(さつまやまざきえき)
記念碑と駅名標が残っています。
さつま町の駅には駅跡の案内板があり、駅があったことがわかるようになっています。
駅跡の案内板は、現役時の姿を見ることができるスグレものです。
船木駅(ふなきえき)
駅の形跡はほぼみつかりませんでした。
なんとなく、駅があった雰囲気はわからなくもないという感じです。
さつま町にあった駅ですが、駅跡の案内板もありませんでした。
宮之城駅(みやのじょうえき)
旧宮之城町の中心駅です。
駅跡には宮之城鉄道記念館が建てられています。
佐志駅(さしえき)
ホームが残っていて、案内板で駅跡がわかりやすくしてあります。
ホームと待合所だけの駅だったみたいです。
さつま町の案内板、ありがたいです。
記念碑と車輪です
駅前の雰囲気は、昭和の駅前の風情があります。
薩摩湯田駅(さつまゆだえき)
田んぼの中にあり、鉄道遺構としては車輪程度になっています。
例によって、案内板があるのでわかりやすいです。
薩摩鶴田駅(さつまつるだえき)
駅舎のあった場所は公民館になっていますが、周辺に鉄道遺構が残っています。
公民館は鉄道記念館を兼ねています。
薩摩求名駅(さつまぐみょうえき)
駅跡は公民館となり、駅の遺構とみられるものは何も残っていません。
もっとも廃線前も、駅に公民館が同居していたそうです。
近くにある橋のデザインが駅を思わせます。
広橋駅(ひろはしえき)
駅跡は給食センターになっています。
周辺にも駅の名残があるものは、見当たりません。
強いてあげれば、駅前の民家のシャッターにある「商店」の表示です。
薩摩永野駅(さつまながのえき)
公園化されて駅らしさの残る駅です。
スイッチバック式の駅として、一部のマニアの間では知られていた駅でした。
鉄道記念館は廃線後に建てられたものですが、線路やポイントが保存されています。
針持駅(はりもちえき)
現在、針持駐在所のとなりの公園が針持駅のあったところです。
記念碑と信号機、車輪などがあるので駅跡とわかります。
西平良駅(にしたらえき)
西平良駅跡も公園化されています。
記念碑、車輪はとなりの針持駅や羽月駅と同じですが、公園は広々としています。
羽月駅(はつきえき)
記念碑と車輪、駅名標などが残る公園になっています。
駅前の交差点は、現在も羽月駅前のままとなるなど、周辺には駅があったと思わせる雰囲気が残っています。
薩摩大口駅(さつまおおくちえき)
宮之城線の終着駅です。
この駅で山野線に接続していましたが、その山野線ももうありません。
駅跡に建てられた「大口ふれあいセンター」には「歴史民俗鉄道記念資料館」があり、宮之城線と山野線の資料が展示してあります。
駅の西端に一部線路を残してあります。
沿革
1924年(大正13年) | 川内町~樋脇駅間が開業 |
1926年(大正 15年) | 樋脇~宮之城駅間を延伸開業 |
1934年(昭和9年) | 宮之城~薩摩鶴田駅間を延伸開業 |
1935年(昭和10年) | 薩摩鶴田~薩摩永野駅間を延伸開業 |
1937年(昭和12年) | 薩摩永野~薩摩大口間を延伸開業し宮之城線全通 |
1984年(昭和59年) | 第2次特定地方交通線として廃止承認 |
1986年(昭和61年) | 貨物営業廃止 |
1987年(昭和62年) | 全線廃止 |
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