知覧平和公園は、かつて鹿児島県南九州市知覧町にあった知覧飛行場跡につくられた公園です。
第二次世界大戦終盤、知覧飛行場は特攻攻撃の拠点基地でした。
知覧特攻平和会館には、特攻隊に関連する遺物や資料が展示されています。
知覧飛行場
帝国陸軍の知覧飛行場は、1941年(昭和 17 年)に完成しています。
当初は、福岡県三井郡にある、大大刀洗陸軍飛行場の知覧分教場でした。
少年飛行兵や特別幹部候補生の教育や訓練をする施設です。
戦況が悪化すると知覧飛行場は、特攻隊の出撃拠点へと変わっていきます。
1945年には、知覧特攻基地ととばれるようになりました。
アメリカ軍が沖縄に上陸すると、本土防衛の最前線基地となり、その役割は戦況に合わせて変化しています。
知覧特攻平和会館
知覧飛行場の跡地は、知覧平和公園として整備され、特攻に関連する資料を展示する博物館が建てられています。
一連の施設をつくるにあたっては、特攻を美談化、観光化することに対して批判があるなど、関係者にはたいへんな苦労がありました。
しかし、戦争犠牲者の慰霊という意味では多数の人が支持していました。
1985年（昭和60年）に知覧特攻平和会館としてリニューアルしたことで、訪れる人がますます増加しました。
今や知覧町は、南薩摩の一大観光地となっています。
展示物
隊員の遺影、遺書などがずらりと並びます。
なお、館内は一部を除き撮影禁止となっています。
零式艦上戦闘機五二型丙
海中に水没していたものを引き上げ修復したものです。
機体は損傷していますが、その分中の構造までのぞくことができます。
四式戦闘機疾風I型甲
疾風(はやて)は、大戦後期の戦闘機です。
1944年(昭和 19年)から3,500 機が生産されました。
展示機は、世界で唯一の原形をとどめた現存機です。
特攻平和会館の展示機の写真撮影はできません。
一式戦闘機隼Ⅲ型甲
「隼」は、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の撮影で使用されたレプリカです。
屋外に展示されています。
航空自衛隊 T-3 練習機
T-3 は、1978年（昭和53年）デビューした空自の練習機です。
50機が生産されましたが、役割を後継機に譲り、2007年（平成19年）には全機退役しています。
知覧にあるのは81-5502機です。
戦争遺構
知覧飛行場は、戦後進駐してきたアメリカ軍により跡形もなく破壊されてしまいました。
現在は飛行場の面影はありません。
しかし、わずかながら遺構が残されています。
門柱
本来、飛行場の門柱があった正門は住宅街となっています。
門柱は平和公園の中に移されています。
油脂庫
練習機の潤滑油を保管していた倉庫です。
平和記念公園の野球場の東側、本来の位置にそのまま残されています。
レンガ造りなのですが、敵の攻撃に備え、周りをコンクリートで覆っています。
壁にはアメリカ軍の空襲の傷跡が残っています。
弾薬庫
射撃訓練に使う弾薬を保管していた倉庫です。
野球場の中に残っています。
弾薬庫にも空襲の弾痕が残っています。
給水塔
知覧飛行場は台地上にあり水の確保に苦労していました。
ふもとを流れる思川からポンプアップし、高架式のタンクに貯水していました。
戦時の原型をとどめる施設です。
戦中は真っすぐ建っていましたが、永年の間にすこし傾いています。
防火水槽
防火水槽は4基ほどあったそうですが、現在残っているのは1基のみです。
残っているものは、東側約 100mの私有地にあったため移設したものです。
本部の近くにあったため、本部用の防火水槽といわれています。
三角兵舎
特攻隊員の兵舎は、空襲を避けるために、飛行場から少し離れた林の中に建てられていました。
特攻隊員たちが出撃までの数日間過ごしていた兵舎です。
特攻平和会館のすぐとなりに、三角兵舎が再現されています。
戦闘指揮所跡
戦闘指揮所は、現在でいう管制塔の役目を果たしていた建物です。
現存していませんが、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」や「ホタル」の撮影地となっていて、石碑が立っています。
基地を飛び立つ隊員の壮行式が行われていた場所です。
知覧高等女学校の生徒や、知覧の住人たちが、戻らぬ隊員達を見送っていました。
まとめ
特攻隊が編成された経緯は、本土決戦すなわちアメリカ軍の沖縄上陸を避けるためでした。
若い隊員たちは、愛する人たちを守るために知覧を立っています。
そして、英霊となった後も、我が国の尊厳と誇りを守り続けています。
知覧特攻平和会館は、犠牲者や遺族に想いを馳せ、歴史を語り継ぐのに大きな役割を果たしています。
観光地化し多くの方の目に触れることは、決して悪いことではなく、むしろ悲劇を繰り返さないためにも必要なことです。
何よりも英霊となった隊員の方々も、望んでいることだと思います。
入館案内
| 休館日 | 年中無休 |
| 開館時間 | 午前9時～午後5時 （入館は午後4時30分まで） |
| 入館料 | 大人500円 小人300円 |
入館料は令和2年9月現在のものです。
くわしくは公式サイトでご確認ください。
知覧を舞台にした映画
俺は、君のためにこそ死ににいく
特攻の基地のあった鹿児島県知覧で軍の指定食堂を切り盛りしていた女性・鳥濱トメさんの視点から、太平洋戦争で散っていった特攻隊員の若者たちの切ない青春物語を描いた戦争ドラマです。
石原慎太郎さんの制作総指揮作品です。
ホタル
元特攻隊員と、病に侵され余命いくばくもない妻との夫婦愛を、昭和の終わりを背景に描いた高倉健主演映画です。
艦これ聖地
知覧飛行場は、旧日本海軍の飛行場です。
艦これ聖地のひとつとして、巡礼する方もいます。
観光パンフレット
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